いわゆる四十肩、五十肩とは?

美唄市医師会・飯坂英雄

肩関節が痛む病気にはいろいろありますが6割位は中年以降に発症する、いわゆる四十肩、五十肩(肩関節周囲炎) です。原因はよく分かっていませんが加齢と関係があるとされています。症状は高いところに手を伸ばすと痛むとか 、髪をとかす動作や帯を結ぶ動作が辛くなり(肩関節の疼痛と運動障害)ひどくなると痛む肩を下にして眠れない とか夜中や朝方気温の低くなるときにときに痛みで目を覚ますなどです。臨床所見では肩峰下滑液包(肩の外側) や上腕二頭筋長頭腱(肩の前方)などに圧痛あります。通常X線で骨・関節の異常は認められていませんが、まれに 症状の強い場合、肩峰下滑液包、三角筋下滑液包、腱板などに石灰沈着像を見ることがあります。治療は急性期 (発症して間もない時期)で痛みの激しいときは、関節内にステロイド+局麻剤の注射を週に一度のほかに消炎鎮痛剤 、湿布の投与をし、無理に動かさないようにします。痛みが軽くなったり、慢性期(発症から1ヶ月以上)や、痛みが それほど強くない場合は、週1回のヒアルロン酸ソーダ関節内注射のほかに、温熱療法やアイロン体操、棒体操などの 運動療法を積極的に行っていただいています。受診される時期が早いほど短期間で治りますが、我慢をし過ぎて関節が 堅くなった状態(関節拘縮、凍結肩)では長くかかります。同じような症状で腱板断裂、変形性肩関節症、胸郭出口症候群 、インピンジメント症候群、頸椎症性神経根症など鑑別しなければならない病気もあります。思い当たる方は、自己診断や 周りの経験者の言うことを鵜呑みにせずに専門家による早期の診断、治療を受けるようお勧めします。
(筆者紹介/市立美唄病院整形外科)

メニューに戻る