中高年の膝痛

美唄市医師会・飯坂英雄

膝の痛みの原因はいろいろとありますが、中高年になって痛み出す病気は変形性関節症最も多いと言えます。 人も運動器官は精密な機械に例えられますが、加重関節の膝は長年使用しているうちに、衝撃を緩和してくれる部分 (半月板や関節軟骨)が摩耗してくる結果です。摩耗の程度はレントゲンで5段階に分類しています。初期症状としては 動作のはじめに痛みが出現し、しばらく歩いているうちに痛みが軽減します。病状が進むと関節が腫れて膝の周囲に張った感じ があり、関節に水が貯まる状態になります。この水をとると癖になると言われていますが、病気が進行する過程で生じる症状 で生じる症状で癖になるということはなく、進行とともに貯まる頻度が少なくなります。さらに進行すると常時歩行時痛が出現し 、膝が伸びなくなったり、正座ができなくなってきます。また、しだいにがに股(O脚)が増強してきます。 これは膝関節内側のクッション(半月板)や関節軟骨がすり減って内側が短縮するためです。また膝蓋骨と大腿骨の関節が摩耗してくると 階段を降りる際に痛みが出てくるのが特徴です。治療としては大腿四頭筋の筋力増強(膝を伸ばす筋力を鍛える)、温熱療法、肥満気味 の方は減量が基本です。また、湿布や消炎鎮痛剤などのほかに従来は副腎皮質ホルモンを関節内に注射する方法が主流でしたが、近年、 中程度までの本症には関節軟骨を保護し、潤滑油効果があるヒアル酸ソーダーの関節内注射が使われています。 また、病状により関節鏡視下に断裂した半月板を部分切除したり、骨切り術、人工関節置換術などが広く行われるようになっています。 鑑別しなければならない病気としては偽痛風、大腿骨顆部骨壊死、リウマチなどがあります。生命に直接関わる病気ではありませんが、 日常生活動作が困難になる前に整形外科を受診してみてはいかがでしょうか?
(筆者紹介/市立美唄病院整形外科)

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