腸内フローラについて
美唄市医師会・室谷 光治

皮膚の表面や口、腸の中。実は私たちのカラダのあらゆる表面には、細菌がすみ着いています。 それらすべてを合わせると、重さはなんと1〜2kg。
そのうちの9割が腸の中にすむ腸内細菌です。 ヒトにすみ着く腸内細菌の種類は1000種類以上。数にすると100兆個以上で、種類ごとに集団をつくっており、この集団を「腸内フローラ」といいます。
カラダによい善玉菌、わるい悪玉菌、どちらでもない菌がありますが、多くは未知の菌で、確認できているものは全体の3割にすぎないといわれております。
未来の医療は、未知の菌とさまざまな病気との関連が少しずつ解明されて進歩するでしょう。加齢とともに腸内フローラのバランスは変動し、 60歳代以降は有害菌が増えてきます。バランスが崩れると、便秘や下痢など、おなかの不調だけでなく免疫機能の低下や、さまざまな病気の要因になります。
加齢だけでなく食事や睡眠などの生活習慣も腸内フローラのバランスに大きく影響します。 動物性脂質やたんぱく質が多い食事やお酒の飲みすぎは有害菌が増えるもと。健康なカラダは健康な腸から。腸内フローラを整えるには、 まず食習慣を見直すことが大切。善玉菌のエサになる食物繊維を多く含む野菜や果物、大麦などの食品を積極的に取るようにしましょう。
食事のほかにも、適度な運動や規則正しい睡眠や生活リズムは腸内フローラを整えるのに効果的です。
(執筆者紹介/北海道せき損センター内科部長)