ねむりについて
美唄市医師会・稲葉 央子

メンタルヘルスに関わる仕事をしていると、寝つけない・途中で目が覚めてしまう・朝早くに目が覚めてしまうなどの眠りの悩みを持っている方に頻繁に出会います。 「健康を保つために睡眠が重要」ということは今や常識になっており、どうしたら良い眠りが得られるか、という情報は至るところにあふれています。 中には睡眠が確保できなければこんな弊害が・・・というような、読むと不安が募るような情報もあります。
しかし、理論的には正しい情報であっても、現実的な生活の中でその習慣が保(たも)てないこともまたよくあることで、どのあたりで折り合いをつけるかと 迷うこともあるかもしれません。
「朝なかなか起きられない」、「日中眠気が出現する」、「活動する時に頭がぼーっとした状態である」、「頭痛などの身体症状がある」などが続く場合には、 多忙な生活を改善するよう周囲に働きかけるなどの対策が必要です。生活に支障をきたす場合には受診を考えましょう。
睡眠時間を目安としている情報もありますが、これは個人差が大きく、あくまでもひとつの目安ですので、極端な場合を除き「〇時間眠らなくてはならない」 などとこだわり過ぎずに日中快適に過ごせる睡眠が得られることを目指しましょう。 また、十分な時間を眠っていても、先ほど書いたような日中の問題が続く場合には、睡眠時無呼吸症候群などの可能性を考え、医療機関を受診したほうがよいでしょう。
(執筆者紹介/心療内科あおぞらクリニック副院長)