あなたの歯の痛み、歯が原因ではないかもしれません
美唄市医師会・庵 敬

歯そのものに原因がないのにも関わらず歯に痛みを感じてしまう疾患を「非歯原性歯痛」といいます。 一般的に歯の痛みの原因として思い浮かぶのは虫歯や歯周病だと思いますが、そのような異常が歯になくても歯に痛みを感じることがあるのです。 非歯原性歯痛の原因として、
@筋・筋膜性疼痛(とうつう)
A障害性疼痛
B経血管性頭痛
C上顎洞(じょうがくどう)疾患
D心臓疾患
E精神疾患または心理社会的要因
F突発性歯痛
Gその他さまざまな疾患
があります。
聞きなれない言葉ばかりですが、簡単に言うと、筋肉の疲労、神経のダメージ、ある種の頭痛、狭心症や心筋梗塞、心理的要因、中枢神経での痛みの処理の エラーなどにより歯に痛みを感じてしまうということです。
この非歯原性歯痛ですが、患者さんの感じる痛みとしては虫歯や歯周病の痛みとよく似ていることがあるものの、原因は歯ではないので、 歯を削ったり歯の神経を取ったり(抜髄(ばつずい)、歯を抜いたり(抜歯)しても効果はありません。 「歯が痛くて歯科医院に行ったのに、歯の治療をされなかった」という経験がおありの方がいらっしゃるかもしれませんが、その痛みは「歯の治療をしても解決しない歯の痛み」だった可能性があります。
診断・治療には専門知識が必要であり、医科の受診を勧める場合もあります。この機会に「非歯原性歯痛」という疾患があるということを知っていただればと思います。 そして、歯に痛みがある場合はお早めにかかりつけ歯科やお近くの歯科医院にご相談ください。
(執筆者紹介/北海道せき損センター歯科)