インプラントにも起こる歯周病
美唄歯科医師会・吉村 治範

インプラントは何年持ちますかとよく聞かれます。
現在の優れたインプラント治療においては、条件さえ整えば一生持たせられる可能性があります。 インプラントはチタンでできていますので、虫歯によって失われることはありません。ただし残念ながらインプラントも天然歯と同じように歯周病にかかります。 インプラントは構造的に天然歯よりも歯周病菌への抵抗力が弱いと言われています。 そのため天然歯と同様に毎日の適切な歯磨きに加えて、定期的な歯科医院でのメンテナンスが必須となります。
現在インプラント周囲組織の状況は、
@健康なインプラント周囲組織
Aインプラント周囲粘膜炎
Bインプラント周囲炎
Cインプラント周囲の軟・硬組織の欠損
の4つに分類され、Aのインプラント周囲粘膜炎の状況であれば、歯科医院での適切なサポート療法と徹底したホームケアで健康なインプラント周囲組織を取り戻すことができます。
しかし、Bのインプラント周囲炎になるとすでに失われた組織を取り戻すことはとても困難です。失われた組織を取り戻すための再生療法も行われていますが、常に良い結果が得られるとは言えません。 ただし、組織の回復がかなわなくても、それ以上組織を失わないよう現状維持を図るため適切なサポート療法とホームケアを行えばインプラントの保存は可能となります。
さらに病状が進行しCのインプラント周囲の軟・硬組織の欠損の状況に至った場合には、ほとんどの場合でインプラントの撤去となってしまいます。
このように、インプラントが歯周病に罹患(りかん)しないよう、毎日のホームケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスはとても重要となります。
さらに言えば歯を失ってインプラントにならないよう日々のホームケアに十分ご留意ください。
(執筆者紹介/吉村歯科医院院長)