コロナは体の病気? 心の病気?
美唄市医師会・福場 将太

新型コロナウイルスの症状といえば、発熱、せき、鼻水、だるさ、臭いや味覚の障害など、体の不調がいろいろ思い付きます。
しかしコロナは心にも不調をもたらすのをご存じでしょうか。
「コロナうつ」という言葉も生まれたように、この三年間の社会情勢の中で人間の心にはさまざまな影響がもたらされました。
一つは不安感。何人感染した、何人亡くなったという報道が毎日飛び込んできて、自分もそうなるんじゃないかと恐ろしくなりました。
もう一つは喪失感。大切な家族を亡くしたり、仕事をやめることになったり、ずっと楽しみにしていたことが中止になったりして、無念な思いをたくさんしました。 そして最も深刻なのが不信感。消毒液を盗んだり、感染者を迫害したり、コロナ禍で人間の汚い面をたくさん見ました。
さらにマスクでお互いの表情がわからず気持ちがくみ取れない、会って話せば解消できる誤解や勘違いもそのままになる。結果、人間に対する疑心暗鬼が心にもたらされてしまったのです。 コロナよりも人間が怖い、と感じた人も多いのではないでしょうか。確かにこれまではまず命を守ることが最優先でした。しかしこれからは心も守らなくてはいけない時期。 思いやり、優しさ、人を信じられる気持ち・・・人間にとって一番大切な心をコロナに奪われないために、ちゃんと話をしましょう。楽しいことをしましょう。 内科のお医者さんが皆さんの体の健康を守るために日々コロナと闘ってくれています。精神科医も皆さんの心の健康を守るために頑張るぞ!
(執筆者紹介/医療法人風のすずらん会美唄すずらんクリニック精神科医)