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周術期口腔機能管理について 〜お口のケアで病気の治療の手助けを〜 美唄市医師会・山下 映美 |
周術期口腔機能管理とは、全身麻酔下でのがん手術、抗がん剤治療などの化学療法、放射線治療、心臓の手術、整形外科手術、緩和医療などを行うにあたって歯科が介入し、
口の中の細菌数を減らすための適切な口腔管理を行うことで医科での治療の合併症の予防やリスクの軽減、生活の質の維持・向上を目指す目的で行われています。
2012年より保険導入された比較的新しい概念です。 周術期口腔機能管理により予防が期待されるものには手術後の手術部位感染や肺炎、 化学療法や放射線治療に伴う口内炎や顎骨壊死、気管挿管時の動揺歯の脱落などが挙げられます。 また早期の段階で口から栄養を摂取することを支援することで、口の中の自浄作用を回復することや全身の免疫力を高めて合併症を予防することも期待されます。 当科では具体的にはがん手術・化学療法、人工股関節置換術等の整形外科手術を行う患者さんなどに対して口腔内診査(むし歯の有無のチェックや歯周病検査)、 歯科用レントゲン写真の撮影、歯科医師や歯科衛生士による専門的口腔ケア、セルフケア指導、気管挿管時歯牙保護用マウスピースの作製、 歯科治療(むし歯治療、歯周病治療、抜歯、義歯の新製や調整など)を行っています。 普段からの定期的な歯科受診が大切なのはもちろんですが、今後手術などが予定されており、口の中に気になる点がある方は医科の主治医やかかりつけ歯科医、 近隣歯科医院に相談し、歯科受診を検討されることをおすすめします。 (執筆者紹介/北海道せき損センター歯科医師) ![]() |