生活習慣病で骨折しやすくなる?
美唄市医師会・太田 昌博

生活習慣病によって骨が弱くなるってご存じですか?
骨粗鬆(こつそしょう)症外来では主に骨密度を指標にして骨粗鬆症の診断をしていますが、 骨密度だけではなく骨質というものも骨の強度(=骨密度+骨質)に関係しています。
例えば糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)、 肥満、高血圧、高脂血症、動脈硬化症などの生活習慣病では骨質が劣化する(=骨が弱くなる) ということが分かっていて、同じ骨密度でも生活習慣病のない人に比べて骨折しやすくなってしまいます。
つまり骨密度を計測して、よい数値だったからといって必ずしもいい骨・強い骨だとは限らないということになります。 日本生活習慣病予防協会のホームページによると、
糖尿病では1000万人、CKD1330万人、COPD530万人、高血圧993万人もの患者さんがいるとのことです(骨粗鬆症は1280万人)。
生活習慣病は前述の疾患を重複して罹患(りかん)している患者さんが多いので、そういう方はより骨折しやすくなっている可能性が高いです。
もともと骨粗鬆症があればなおさらです。人生100年時代と言われており、高齢になってからもいかにして健康に生活していけるかは 重要な課題となってきています。
大腿(だいたい)骨や背骨の骨折をひとたび起こすと寝たきりの原因となってしまう恐れがあり、それらの骨折を予防して健康寿命を延ばすことが大事になってきます。
健康で長生きしたいと誰しもが思いますよね?
骨粗鬆症・骨折リスク(骨折しやすいかどうか)のことが気になる方はお気軽にご相談ください。
(執筆者紹介/北海道せき損センター整形外科部長・日本骨粗鬆症学会認定医)