オーラルフレイル
美唄歯科医師会・小森 英世

この頃「フレイル」とか「オーラルフレイル」という言葉を耳にしませんか。
元気に自立して過ごせる「健康寿命」を脅かす最大の要因とされる「フレイル」とは全身状態が虚弱 (すなわち心身機能が低下して、要介護状態の一歩手前の状態)になっている事で、「オーラルフレイル」とは お口の機能の衰え、口腔(こうくう)状況の虚弱さを指します。
両者が密に関係することは容易に想像がつきますが、急にそうなる訳ではなく徐々になっていくので、 気付くのに時間を要するかもしれません。
お口の状態について、食物を食べる事、飲み込む事、お話をする事、笑ったり悲しんだりする表情。 人としての極めて重要で基本的なことばかりですね。食物をよくかむには関連する筋肉はもとより、 歯が欠けることなくそろっていたり、痛い歯がないとか、義歯等補綴(ほてつ)物で物をかむ環境にあることも重要ですし、 この頃は普通に食べていて低栄養の方が多いことが分かり、食べる物の内容や質についても注意を払うように喧伝(けんでん)されています。
食物の飲み込み、嚥下(えんげ)もさらに重要で、食べ物や唾液を気管支の方に飲み込む誤嚥(ごえん)性肺炎で亡くなる方は 高齢になるとその比率は著しく高まり、その際の口腔環境の清掃状態も大事ですので、口腔管理の知識や 歯ブラシその他の操作等もにわか造りではなくフレイルになる前に十分マスターされていなければなりません。
このように健康寿命を延ばすには、お体の管理のみならず、お口の管理への気配り等「老化」に付随するさまざまな状況に気配りが必要です。
(執筆者紹介/小森歯科医院院長)