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腎臓の話2 美唄市医師会・田中 康夫 |
先月は水のリサイクルをしながら腎臓が尿を作る話をしました。 ところで、実は、腎臓の機能は「血管内環境の管理」と言われています。 つまり、血管内の水分量、ナトリウムやカリウム、酸やアルカリの濃度、血圧、貧血の改善などを行うのが腎臓の真の機能とされているのです。 尿細管では一度、原尿(げんにょう)中に放出したナトリウム、カリウム、水素イオンなどのうち必要なものを再吸収し、不要なものは尿中に排泄しています。 そのため、血管内の各電解質の濃度やpH(ペーハーまたはピーエイチ)は一定に維持されているのです。 また、血管内が低カルシウムになると腎臓で活性化するホルモンが腸管からのカルシウム吸収を増加させます。 腎臓での「ろ過機能」がうまく働くには血液の流れが一定であることが必要です。 そのため、腎臓は血圧が低下するとそれを感知して、特殊な酵素を分泌し、血圧を上昇させるホルモンを生成します。 そうして血圧を維持します。 さらに、腎臓から分泌されるホルモンが造血細胞に働いて赤血球数を調節することも知られています。 また最近では、酸素濃度が低い環境にさらされると腎臓から分泌され、赤血球数を増加させるホルモンも発見されました。 このホルモンの発見者は最近ノーベル賞を受賞しました。 このように腎臓はとても働き者なのです。 (執筆者紹介/市立美唄病院医療技術部長) ![]() |