レビー小体型認知症について
美唄市医師会・石本 隆広

レビー小体型認知症は、日本では、アルツハイマー型認知症、血管性認知症に次いで3番目に多いタイプの認知症です。
最近の欧米での報告では、アルツハイマー型認知症についで多いという報告も見られるようになってきており、 日本でも将来的には血管性認知症を抜いて2番目に多い認知症になるかもしれません。
レビー小体型認知症は、大脳皮質などの中枢神経系にリン酸化α−シヌクレインを主成分とするレビー小体が出現し、 それに伴って神経細胞が脱落することで認知機能低下を発症します。
臨床症状としては、意識の変容(軽度の意識障害)、繰り返し出現する具体的な幻視、パーキンソニズム(動作緩慢、寡動(かどう)、 静止時振戦(しんせん)など、REM睡眠期行動異常(就寝中の罵声、高笑いなど。眠りながら体を大きく動かすこともあります) などを合併する場合があります。
また、不安、うつ、幻視以外の幻覚、妄想といった精神症状を伴う方もいます。
治療の基本は認知症治療薬の服用ですが、 現在、日本においてはドネペジル(アリセプト(R))しか保険適応はありません。
合併症状のパーキンソニズムにはパーキンソン病治療薬、REM睡眠期にはクロナゼパム精神症状には抑肝散(R)(よくかんさん)を併用することがあります。
精神症状が強い場合には、抗精神病薬の投与を検討せざるを得ませんが、抗精神病薬に対しては他の疾患より強い過敏性が認められ、 少量でも強く副作用が出ることがあるので、慎重に投与する必要があります。
(執筆者紹介/あおぞらクリニック院長)