消毒用アルコールについて
美唄市医師会・室谷 光治

新型コロナウイルス対策で消毒用アルコールを使用する機会が増え新しい日常として定着しています。
消毒用アルコールには刺激作用や脱脂作用があるため、熱心に使っているうちに冬の乾燥もあいまって爪や手肌が荒れて皮膚バリアーがこわれ、 荒れた手に菌が滞在しやすくなる可能性もあります。
台所等の水仕事には、これまで以上に手荒れ対策が大事でしょう。「手指消毒用」の製品には手の湿潤剤や保護剤入りのものが多いですが、 ハンドケアに留意し保護、保湿が重要です。
アルコールで手指消毒を行うと細菌やウイルスを瞬殺するイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、 実は乾くまでの間にやっつけているので、乾くまで少し待たねばなりません。
目に見える汚れがあれば「手洗い」で落としてから使いましょう。
(手洗いでは指先や親指の洗い残しが多いと言われています)
手指消毒用アルコールのポンプを少ししか押さない光景をよく見かけます。
製品によりますが、しっかり下まで押し切った量でじゅうぶんに効くよう設計されています。 アルコールはまず手掌にためて大事な指先を最初に塗るのが良いとされています。手の全体にすり込むのではなく、塗り広げるイメージが実は大事です。 強くこすりすぎると手にいる常在菌が浮かび上がって手指の菌数が増えることもあるらしいです。また、手が濡れた状態でのアルコール使用は、 濃度が薄まってしまいかなり効果が落ちてしまいます。
今大活躍中のアルコールですが、消防法上「危険物第4類アルコール類」に該当する場合があり、台所など火の近くでの使用の際は特に注意が必要です。
(執筆者紹介/北海道せき損センター内科部長)