不安と上手につき合うために
美唄市医師会・福場 将太

この度の新型コロナウイルス感染拡大によって、多くの人の心にもたらされたのが不安です。
不安は、不眠・落ち込み・物忘れなどと並んで、心の病院に相談に来る人が多い症状の一つです。 「出掛けた先で具合が悪くなるんじゃないか」、「自分は難病なんじゃないか」、「ちゃんと玄関の鍵をかけただろうか」などなど、 日常でも色々な不安があります。特に日本人は「みんなと同じことをしていないと不安」という人が多いようで、 今回もトイレットペーパーがなくなるのはデマ情報だとわかったのに、それでもお店に押しかけずにはいられない人たちがいました。
もちろん人間にとって不安は必要な感情です。不安があるからこそ用心し、心配し、それで危険が予防されるわけです。
ただ中には、不安が強過ぎて身動きがとれなくなってしまう人、焦って誤った判断をしてしまう人がいます。 だから大切なのは、不安と自分一人だけで向き合わないことです。
心の医療では、不安を弱めるお薬もありますが、それ以上に効果的なのは患者さんとお医者さんがお話をすること。 話しているうちに冷静になれたり、現実は自分が心配していたよりもずっと大丈夫なことに気付けたりします。
今回の新型コロナウイルスの騒動でも、不安は大切ですが、冷静さと思いやりを忘れてはいけません。 不安と上手につき合いましょう。
心の医療にはそのための方法がたくさんあります。不安に負けそうな時は、ぜひお話をしましょう。
(執筆者紹介/医療法人風のすずらん会美唄すずらんクリニック副院長)