救命の連鎖って?
美唄市医師会・高田 哲男

突然ですが、目の前にいた人が苦しそうに胸を押さえながら倒れました。
皆様はどうされますか?
@周囲の安全を確認する。
A救急車を呼ぶ。
B大丈夫ですか、と声をかける。
C見なかったふりをして、その場を立ち去る。
いかがでしょうか。Cは明らかな間違いとして、@、A、Bのどれが正しいか、皆様はおわかりになるでしょうか。 答えは@です。
まずは、周囲の安全を確認します。何となくAやBを選びたくなりませんか?
こう言った事は、勉強しておかなければわかりません。このような方法を蘇生処置や救命処置と呼び、 日本救急医学会が中心となって二次救命処置コースと言うものを開いています。 一般市民の皆様へも「心肺蘇生法」という講習会が開かれています。 日本人の死亡原因の第2位は心疾患ですが、心疾患による死亡の多くは病院の中ではなく、病院の外で起こった突然死です。 現場に居合わせた人がすぐに異常に気づき、蘇生処置を開始した場合、救命率や社会復帰率は2〜3倍にもなると言われています。 心疾患による突然死を減らすためには地域全体で考える必要があるのです。
救命の連鎖(図)というものがあります。 傷病者の命を救い社会復帰に導くために必要な一連の流れです。
一番目の輪は心停止の予防です。
いったん、心停止してしまうと、蘇生処置がどんなに有効に機能しても元気に回復はしづらいことはご理解いただけると思います。
二番目の輪は心停止の早期認識と迅速な通報、三番目の輪は心肺蘇生やAEDを使った電気ショックという一次救命処置になります。 4つの輪のうち、病院外で行うものが最初の3つなのです。命を救うには皆様の手が必要です。
(執筆者紹介/市立美唄病院内科医長)