認知症を悪くするものと予防するもの
美唄市医師会・石本 隆広

認知症は、全国の患者数が2012年の時点で約462万人と推計されていました。
この数字は2025年には約700万人まで増加すると予想されています。 認知症の発症を予防することは、認知症を治療・介護するうえで大きな課題の一つと言えます。
認知症の悪くするものとして、持病の生活習慣病の悪化が指摘されています。
アルツハイマー型認知症においては、糖尿病の悪化がもっとも悪影響を及ぼします。 このため、アルツハイマー型認知症の患者さんでは、糖尿病の予防と、その早期発見と適切な管理が重要です。
血管性認知症では高血圧のコントロール不良が長期にわたることが危険です。 したがって、中年期から血圧を厳格にコントロールすべきであると考えられています。 喫煙については、認知症の危険因子であるという報告が多数あります。
中年期から老年期まで続けて喫煙していた方では、非喫煙群と比較して、血管性認知症では2・8倍、 アルツハイマー型認知症では2・0倍の発症リスクであるという報告もあります。 ただし、禁煙をした患者さんでは、血管性認知症でもアルツハイマー型認知症でも発症リスクは低下することが判明しています。
運動は、認知症の予防に有用です。運動時間は45分以上、週5回以上の運動を実施することで比較的短期間でも効果が得られるそうです。 ただし、あまり激しい運動は関節や筋肉を傷めますので、どの程度の負荷の運動が良いかは医療機関などで相談した方がよいでしょう。
食事については、和食+野菜+牛乳・乳製品といった組み合わせが良いようです。 大豆や大豆製品、藻類、果実、芋、魚、卵などの摂取が多い食事も良いとされています。 お酒や糖分は摂取しすぎると悪影響が出るようです。
(執筆者紹介/あおぞらクリニック院長)