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風邪の流行について 美唄市医師会・中野 記嗣 |
首都圏を中心に風疹が流行しています。 国立感染研によると、平成30年初めから10月までの患者数は1,289人で、過去最悪に次ぐペースとなっています。 風疹は、以前は子どもの病気であり、3日はしかと呼ばれてきました。症状は比較的速やかに軽快しますが、恐ろしいのは、 妊娠初期(20週まで)の女性が罹患した場合胎児におきる、白内障・難聴・精神遅滞および心奇形といった先天風疹症候群を 引き起こすことです。 昨年の感染患者の約80%が30〜50代の男性で「ワクチンの谷間世代」と言われており、約20%は免疫を持っておりません。 そのため近年の風疹患者の内訳は小児から成人へと変化しており、大人から大人へ感染が拡大し、 職場、地域、家庭で妊婦や妊娠可能女性へ伝播(でんぱ)するケースが危惧されています。 先天性風疹症候群をなくすためには、妊娠前の女性と共に成人男性を含む「社会全体でのワクチン」が重要と考えられております。 このための具体的な行動として最も簡単な方法は、母子手帳による接種の確認です。 現在日本では、麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)を2回接種(第一期は1歳時と第二期は小学校就学前の合計2回)しています。 2回接種した場合の免疫獲得の可能性は99%と高率で、母子手帳に2個判子が押されていれば安心と考えられます。 また風疹ウイルスに対する抗体価を確認することが確実な方法です。抗体価が低い女性にMRワクチンを接種する場合には、 妊娠していない時期に行い、その後2カ月は避妊が必要です。谷間世代の男性へのワクチン接種の時期には特別なものはありません。 地域の皆様の積極的な抗体価検査とワクチン接種で、風疹とその合併症を駆逐(くちく)しましょう。 (執筆者紹介/北海道せき損センター内科部長) ![]() |