震災時の医療(後編)
美唄市医師会・毛利 智好

今月は先月に引き続き、震災時の医療についてお話しさせていただきます。
被災地に集結したDMATは病院支援や災害現場での診療、他地域への患者搬送といった急性期の救命を目的とした 医療活動を主に行いますが、発災から(救命の可能性があると考えられている)約72時間を目途に活動は終了します。
では、急性期以降の被災地の地域医療はどうなってしまうのでしょうか?
高血圧や糖尿病等の慢性疾患を抱えた多くの患者様が避難所での生活を余儀なくされる中、 被災地域の病院や診療所が機能しない状況になってしまう可能性も考えられますので、ご心配される方も多いと思います。
病院や診療所ごと津波に飲み込まれた多くの地域で地域医療が崩壊した東日本大震災では、DMAT派遣終了とともに被災県からの 要請で全国の都道府県から医療支援チームが被災地に続々と派遣されました。
この医療支援チームによって被災者が多くおられる避難所を中心に巡回診療が継続的に行われ、 患者様の体調管理や(お薬手帳が津波で流されて無くなってしまった人も)内服薬の処方等の医療支援活動が実施されました。
阪神・淡路大震災を教訓として東日本大震災で実践されたように、災害時の医療対策は急性期から慢性期に至るまで迅速かつ 強固で被災住民にとって安心できるものへと改善されつつありますが、「備えあれば憂いなし」という言葉どおり、発災から 避難所での生活までをも見越した準備(できれば数日分のお薬やお薬手帳のコピーなども手元に)を日頃から行うことが大切です。
(執筆者紹介/市立美唄病院総合診療科医長)