震災時の医療(前編)
美唄市医師会・毛利 智好

先日の胆振東部地震で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
このような直下型地震は日本全国どこにでも起こりうると考えられていますが、空知地方にも多くの活断層が確認されており、 美唄市周辺も例外ではありません。
もしここで直下型大地震が発生して負傷者が多数発生した場合、怪我をされた大勢の人たちが病院に殺到するのでは? すぐに診てくれるのか?と考えれば考えるほど心配になってしまいますが、 今回は災害、特に甚大な被害が想定される直下型大震災時の医療体制と対応について2回に分けてお話しさせていただきます。
まず留意していただきたいのは、皆さんが被害に遭われた際には同じ地域にある病院や診療所も少なからず被害を受けるということです。
被災した病院に倒壊の危険性があればそこでは診療は行えませんし、入院患者様は安全な他地域の病院への早急な転院が必要になります。 また病院や診療所で勤務している医療従事者も被災するわけですから、被害の少なかった限られた職員のみでの診療対応となる可能性も 十分に考えられます。
このような場合、甚大な被害を受けた被災地域には災害急性期医療の訓練を受けた
DMAT(Disaster Medical Assistance Team)と呼ばれる、医師・看護師・業務調整員からなる 医療チーム(1チームあたり4〜5人程度で構成される)が災害の規模に応じて道内もしくは 全国から数多く集結してきます。今回の胆振東部地震でも50隊以上のDMATが集結しました。 そして、この集結してきたDMAT隊員たちがさまざまな医療活動を行うことになります。
(執筆者紹介/市立美唄病院総合診療科医長)