認知症予防は
かかりつけ歯科医院から

美唄市医師会・吉村 治範

認知症と歯科、どんな因果関係があるか疑問をお持ちの方も多いと思いますが、歯の本数が19歯以下の人は20歯以上の人に 比べて認知症発症リスクが2割高くなるとの研究結果があります。
また中医協「我が国の医療費についての基本資料」でも、歯が残っている人ほど医科医療費が少ないと報告されています。 要するにいつまでも健康に過ごすためには口腔ケアが必須であり、 そのためかかりつけ歯科医院を持つことが重要なポイントとなるのです。 多摩歯科医師会、東京都立大との協働調査においても、 かかりつけ歯科医院を持っている人が持っていない人に比べて6年間の累積生存率が有意に高かったと報告しています。
さらにたとえ歯を失って義歯になったとしても、義歯をきちんと使えている人は使っていない人に比べて認知症のリスクが約2倍 も減少させられるとの報告もあります。
では何故歯があってよく噛める人が健康でいられるのでしょうか。
もちろん歯や義歯がしっかりしていてよく食べられることが健康の要因であることは間違いありません。 しかしそれと同時によく噛めて咬合力を日常生活で発揮できていることがさらに重要なポイントとなります。 高齢者では咬合力が確保されないと歩行速度が遅くなり、脳機能活性度が低くなるとの報告もあります。 さらに全く自立歩行出来なかった人が義歯を作製し適切な口腔機能訓練をすることによって認知機能が高まり、 自立歩行が可能になったとの報告もあります。皆様も是非かかりつけ歯科医院を持っていつまでも健康に過ごして頂ければと存じます。
(執筆者紹介/吉村歯科医院院長)