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うつ病の治り方 美唄市医師会・稲葉 央子 |
今年の冬は積雪量が多く、ことのほか長く感じましたがやっと春を迎えました。 この文章を皆さんに読んでいただいている頃には、北限のソメイヨシノのつぼみが膨らんでいる頃でしょうか。 季節の変わり目には精神的な不調が生じやすくなります。 しかし、適切な対応で症状は治まります。今日は、この頃に調子を崩しやすいうつ病の『治し方』ではなく、『治り方』つまり回復過程についてお話しします。 うつ病は「気持ちが沈む」病気と捉えられがちですが、実際は、脳の神経伝達物質がバランスを乱すことで身体のエネルギー全体が低下する病気であり、 気分の沈みはその一つの表れです。 意欲の低下・不眠・集中力の低下などの精神症状の他、疼痛・吐き気・腹部不快感などの様々な身体症状が出現することも多く、 その回復のためにはまず休養をとり、適切な薬を用いてバランスの乱れを元に戻すことが治療の基本です。 治り方にはもちろん個人差があり、治療開始からすぐに苦痛が和らぐこともあれば、やや時間を要する人もいます。 ただ、共通して言えることは、やや症状が軽快した後に症状の波が多少なりとも出現するということです。 そのため「せっかく良くなったのに・・・」と落胆してしまう方もいらっしゃるのですが、 ある程度の症状の揺らぎを持ちながら確実に治癒に向かっているということなので、この間に生じる不安や焦燥感は医療者側にも伝えながら治療を進めていきましょう。 また、少し好調になった時に不調の間に乱れたペースを取り戻そうと無理をするのは禁物です。薬も症状が減ったからと急に止めたり減量したりすると症状の再燃につながります。 医師と十分相談しながらゆっくり減量することが大切です。 (執筆者紹介/医療法人心和会心療内科あおぞらクリニック副院長) ![]() |