早期発見、早期治療
美唄市医師会・佐藤 克俊

お陰様で、昨年に開業10周年を迎えることができました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
美唄市で10年間診療してきた中で気がついたことが何点かありました。
まず第一に眼科を受診する時期が極端に遅いという点です。
高齢なので見えないのは仕方がない、という理由で受診されない方が多いようです。
もちろん年齢的に治療できない疾患も少なくありませんが、早期発見して早期に治療を開始すれば視覚を保てるものもあります。 初診時にかなり進行した白内障、緑内障、糖尿病網膜症を診ることが少なくありません。眼科治療は現在でも劇的に進化しています。 進行を抑えることができるようにはなってきていますが、それでも自覚症状が出てから治療しても改善が見込めない疾患もあります。
また健康診断、人間ドックの検査項目が視力と眼圧しか入っていないケースが多いようです。 最近では健康診断の眼圧測定はあまり意味がないという報告もあります。特に眼底写真が入っていない場合は改めて眼底検査を受けましょう。
白内障は概ね矯正視力が0、6前後のころに手術をするのが良いといわれています。
あまり進行した白内障は手術時に合併症が出やすくなります。 手術時間が長くなり術後炎症が遷延化(えんせんか)、再手術が必要になります。乱視が強くなり術後の視機能も今ひとつになってしまいます。
白内障手術で視力が改善すると痴呆が改善したり転倒等による怪我が減り寿命が延びるといわれています。介護が必要な方は周囲の負担が軽くなります。 他の疾患と同様、早期発見早期治療が望ましいのは眼科も一緒です。
(執筆者紹介/びばい眼科クリニック院長)