安全な麻酔
美唄市医師会・桑原 稔

全身麻酔は1804年日本で行われた乳がんの手術が始まりといわれております。
その当時は薬剤、器具、医学知識において 現在よりもはるかに劣っており、成功するまでに多大な犠牲を払ってきました。(全身麻酔を成功させた医師は実験台とした母を 亡くし、妻を失明させてしまいました)。その後全身麻酔は全世界で行われるようになり、より安全に手術が受けられるよう 改良が加えられてきました。
現在は薬剤、器具が大幅に進歩し麻酔に対する知識、経験も増えたため患者様に危害を与えず全身麻酔を行うことが容易になって きております。
しかし、麻酔の歴史の中で大きな変化は麻酔科医が登場したことになります。以前は手術する医師が麻酔を行い 手術するというのが一般的でしたが、それでは麻酔中の患者さんの管理をする人がいないため、手術は成功したが患者さんは亡く なってしまったという本末転倒な事態が発生してしまいます。麻酔科医が登場したことにより麻酔中の患者さんを管理することが 可能となり麻酔の安全性は飛躍的に向上しました。実際麻酔が原因となった死亡事故は10万人に1人程度まで低下してきており ます。現在は更なる安全性の向上に加え、手術後も苦痛を感じずに生活できる麻酔法の模索、日々進化する高度な手術に対応できる 麻酔法の開発など我々は日々研鑚を続けております。皆さんが手術を受ける場合でもこれまでの経験を生かし我々が最適な麻酔を 提供いたします。
麻酔に関する不安な点、要望などもしっかり対応いたしますので、ぜひご相談ください。
(執筆者紹介/北海道せき損センター麻酔科部長)