ピロリ菌の感染経路は?

美唄市医師会・室谷 光治

近年関心が高まっているピロリ菌ですが、いったいどこから感染するのでしょうか?
その経路は解明されておらずいろいろな原因が考えられています。口から入ってくるのは間違いないと言われており、 ほとんどが幼児期に感染すると言われております。
上下水道の発達した現代の日本では、生水を飲んでピロリ菌に感染することはないと考えられます。通常、大人になってからのピロリ菌感染はおこらない可能性が高いです。 幼児期の胃の中は酸性が弱く免疫抵抗力が低いためピロリ菌が生き延びやすい環境であり5歳以下で感染すると言われております。
最近では母から子へなどの家庭内感染が疑われておりますので、感染者から小さい子供への口移しは注意が必要です。
ピロリ菌に感染している人の割合は年齢・世代によって異なっており、上下水道の発達に伴い減少している傾向がみられます。
すなわち高齢者ほど感染者が多く、10代20歳代ではかなり少なくなってきております。感染率は乳幼児期の衛生環境に関係があると 考えられております。
通常、大人でピロリ除菌に成功した場合、再感染はほとんどないと言われております。
最後に、ピロリ菌の除菌が成功すると内視鏡検査を受けなくなる人がいらっしゃいます。ピロリ菌を退治してもそれまで何十年も受けた ピロリ菌の影響は消えないので胃癌発症リスクは減りますが残っています(特に高齢者)。除菌治療成功後も定期的な内視鏡検査が必要です。
(執筆者紹介/北海道せき損センター内科部長)