子どもの発達(1)

美唄市医師会・松浦 信夫

全ての生物は、最終的には自分の子孫を残すこと(種の保存)を最優先にして生きています。
動物においても、子孫を残すために、母親は子育て中、他の動物に果敢に攻めて、子どもを守ります。時には血を流すこともあります。
その動物の頂点にヒトが居ます。ただ、毎日の新聞を見ると、子どもの虐待の記事が出ていない日はないくらい増加しています。 ヒトは、他の哺乳動物、すなわち餓鬼畜生(がきちくちょう)より退化してしまったのでしょうか。
ヒトと他の哺乳動物を比較したとき、赤ちゃんの時の発達が大きく異なります。
ヒトの赤ちゃんは、生まれたときには全く動くことも出来ず、半年くらいでお座り、一人で歩くことが出来るのに1年もかかります。 一方、哺乳動物は、犬猫などの小動物、運動能力の鈍そうな、牛、豚でも、24時間以内に立ち上がり、歩くことが出来ます。
上に述べた二つの事実は、何を示しているのでしょうか。この違いは、脳・神経系の発達の違いにより起こって来ます。 ご承知のように、ヒトは生物界の頂点に立っています。ヒトの脳の大きさ、特に最も人間らしさを発達させる前頭野は、他の動物に比し、 圧倒的に大きいのです。哺乳動物とヒトのもう一つの違いは、四足歩行と二足歩行にあります。人類が、類人猿から分化した500万年前から、 二足歩行し、一夫一婦制をとっていたと考えられています。この二足歩行と脳の発達は密接な関係があります。 ヒトは集団で生活し、コミュニケーションをとるためにことばを発達させ、手を使って道具を使用することが出来るようになりました。(次号につづく・・・)
(執筆者紹介/市立美唄病院小児科医師)