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口腔カンジタ症をご存じですか? 美唄歯科医師会・大坪 義和 |
一昔前に鵞口瘡(がっこうそう)とよばれ低栄養の乳幼児の口腔に発症した病気です。 カンジタは口腔の常在菌(真菌でカビの一種)で通常は病原菌を示しませんが日和見感染(@ひよりみかんせん)をおこすと 疾患として症状を現わします。 小児、老人に多く、また、HIV感染症患者、ステロイド薬や免疫抑制薬服用患者、糖尿病、悪性腫瘍患者にみられます。 口腔症状は多彩で白色や赤色病変を呈し特に乳白色の偽膜(牛乳のかすのようなもの)が粘膜表面にみられ、拭い去る ことが可能でそのあとは発赤やびらんを呈します。 自覚症状として口腔内の舌や頬粘膜がピリピリしたり食物がしみる、触れると痛い、味覚異常などを訴える患者さんがいます。 また、義歯装着者の義歯に接する粘膜に発赤や腫脹がみられる 義歯性口内炎では、義歯の清掃不良やアレルギー反応の場合もありますが、カンジタの感染によるものが多いと考えられて います。 そして、義歯を入れていなかったり、咬み合わせの低い義歯の場合、たえず口角付近の唾液で湿潤(しつじゅん)し 、口腔内から流出した唾液中のカンジタにより口角びらんを生ずる場合もあります。 カンジタ症は高齢者では一度は治療で回復しても再び発症することが多いので、抗真菌薬(こうしんきんやく)に頼らず体力を つけて口腔環境を清潔に保つことが大切です。 注@・・日和見感染とは、通常は悪さをしない口の中の菌が、体の抵抗力の低下等により悪さをして感染症を引きおこす現象です。 (執筆者紹介/そらち歯科医院院長) ![]() |