不正咬合の原因
美唄歯科医師会・工藤 泰裕

歯の位置異常や、かみ合わせの不正などを扱う歯科の分野が矯正歯科です。
矯正歯科は専門性が高いため、治療スキル、治療経験、専門知識と設備を必要とします。 日本矯正歯科学会では認定医制度を設け、一定のカリキュラムを消化し、基準に達した歯科医師に対し「日本矯正歯科学会認定医」を授けています。
不正咬合(こうごう)にはさまざまなタイプがあるため、矯正治療を始めるにあたり「頭部エックス線規格写真」の撮影が必須です。 このレントゲン写真を分析することで、初めて正確な診断が可能となります。不正咬合のうち反対咬合について考えてみましょう。
いわゆる、うけ口といわれている反対咬合、その原因には三つあります。 骨格の成長の優劣が原因となる骨格性反対咬合、歯の傾斜角度が原因となる歯性反対咬合、下顎を前に出す習癖を原因とする機能的反対咬合などがあります。
このうち、骨格性反対咬合は特徴的な横顔をしています。上顎が貧弱な感じ、下顎が長い、顎が突き出ているなどです。 例えば、プロレスラー出身の国会議員がこれに相当します。このような骨格性反対咬合に対し、簡便なマウスピースタイプの矯正装置を用いて、 歯の傾斜角度を修正しただけの治療を行ったとしても、十分な治療効果は得られません。原因にアプローチした治療が必要です。
反対咬合は、私の医院でも比較的多い症例です。 成長期の子どもの場合、歯性や機能的な反対咬合であっても骨格性反対咬合に移行する場合があります。
適切な時期に適切な治療をすることが肝要です。
(執筆者紹介/工藤歯科・矯正歯科医院院長)