お話をすることの大切さ
美唄市医師会・福場 将太

お薬を使う治療を『薬物療法』と呼ぶのに対し、お話をすることで心を元気にする治療を『精神療法』と呼びます。 カウンセリングという言葉の方が一般的かもしれませんね。
心の医療はまずお話をすることが基本です。お話はお薬と違って目に見えないものですが、とても大きな力を持っています。
人間は自分の悩みや苦しみを口に出し、それを誰かに聞いてもらうことで少し楽になれます。 まるで満杯になった容器から別の容器に水を流し込むように、受け止めてもらうことで心は少し軽くなるのです。 またお話をする中で、自分一人では思いつかなかった解決策や、物事に対する新しい考え方が見つかったりします。 そのためのアドバイスをするのも心の医者の仕事です。 お薬は必ず使わなくてはいけないのかというご質問もよく受けます。確かにお薬でなければ治療できない病気もあります。
お話だけで治療するよりも、お薬を併用することでより早く良くなることもあります。ただ副作用のリスクを考えても、 やはりお薬は必要最小限にするのが良いでしょう。
例えば悩みがあって眠れないのなら、すぐに睡眠薬を使うよりも、お話で悩みを解きほぐすことで眠れるようになれたらそれが一番です。
体と同じく、心の健康の大切さが認知されてきている時代。苦しんでいること・困っていることがあるのなら、まずはお話をしましょう。 心の病院はそのための場所、上手に話そうと思わなくても大丈夫です。ゆっくり声を聞かせてください。
(執筆者紹介/医療法人風のすずらん会 美唄すずらんクリニック副院長)