慢性咳嗽〜咳が長引く場合〜
美唄市医師会・清水 透

3週間以上続く咳をせんえん遷延性がいそう咳嗽(咳のことです)と言います。その中でアレルギーが関与した咳についてお話します。
気管支喘息は、気管支の筋肉が収縮することにより空気が通りにくくなる状態です。
背景に、アレルギー反応による気管支壁の炎症があります。
重要な症状は、深夜から早朝にかけての息苦しさ、呼吸困難で、空気の通り道である気管支が細くなるために気流制限を生じ、ヒューヒュー、 ゼーゼーと音がして(ぜんめい喘鳴と言います)咳も出ます。ステロイド剤、気管支拡張剤、抗アレルギー剤などを投与しますが、中でもステロイド剤の吸入療法が大事です。
細くなった気管支が拡張して呼吸が楽になっても炎症反応は残っているので、ステロイド剤の吸入療法を継続する必要があります。
一方、咳喘息は喘鳴(ゼーゼー音)、呼吸困難を伴わずに咳が持続し、夜間、早朝に悪化します。またしばしば季節性を示します。
通常の咳止めは効果が弱く、気管支拡張剤とステロイド剤が有効です。咳喘息の30〜40%が気管支喘息に移行します。 長期管理には気管支喘息と同様にステロイド剤の吸入療法を行います。さらに、アトピー性咳嗽という咳喘息に似た疾患があります。
これは、気管支壁表層の咳に関与する神経が過敏になり、咳が持続するものです。アトピー素因がある中年女性に多くやはり夜間、早朝主体の咳で、 しばしばのどのかゆい感じを伴います。咳喘息と異なり、気管支拡張剤は無効で抗ヒスタミン剤とステロイド剤が有効です。他にアレルギー性以外の咳もありますので、 内科を受診してください。
(執筆者紹介/花田病院副院長)