麻酔科医の仕事
美唄市医師会・村田 正喜

手術前診察をすると、いまだに手術より麻酔が怖いと話す患者に出会う。
数十年前は確かに手術もそうだが、麻酔に関してもそれなりのリスクがあった。
しかし、モニター類や薬、気道確保器具などの進歩により、非常に安全でかつ質の高い手術麻酔を提供することができているので、安心して麻酔を受けてほしいと思う。
ちなみに麻酔に関する事故は手術によるそれより圧倒的に少ない。
(詳細は日本麻酔科学会のホームページ参照)
ところで我々麻酔科医は、手術麻酔だけではなく、救急・集中治療医、ペインクリニック医、緩和医療医と急性期から終末期まで実に幅の広い分野で仕事をしているのをご存知だろうか? 手術麻酔では手術による全身状態の変動を観察し、それぞれに適した対応処置を黒子として行い、その知識と技術を持って高度な救命処置・その後の全身管理を行う集中治療を主体性を持って実施し、 神経ブロックなどの技術を用いて痛み治療を行い、そのペインクリニック技術を持って緩和医療に参加している。
我々麻酔科医は、あらゆる疾患の病態、その治療、さまざまな薬物を把握し日々の診察に生かしている。現在私は、主に手術麻酔に従事しているが (多少、緊急手術患者の術後管理のアドバイスとペインクリニックも行っている)、美唄に1人しかいない麻酔科医として手術室の安全管理を7年間やってきたと自負している。
よって冒頭でも述べたように、当院で手術・麻酔を受ける患者さんは安心して受けて欲しいと思うし、この美唄から麻酔科医を目指す若人が育って欲しいと切に願う。
(執筆者紹介/北海道中央労災病院せき損センター麻酔科部長)