口腔内科のお話
美唄歯科医師会・川上 譲治

歯科の中で口腔内科という科について、耳にする事はありませんか?
聞きなれない科だとは思いますが、口腔内科とは、外科的なアプローチを主体とせずに、歯科患者の口腔だけに視点を向けず、 大局的な立場に立ち、全身的背景を考慮した口腔疾患の診断と治療を行い、口腔医療にあたるものです。
近年の診療で舌痛症、歯科金属アレルギー、粘膜疾患、口腔乾燥症、味覚障害、口腔カンジダ症、顎関節症などの疾患が増加しています。
舌痛症という疾患は、原因に、心理的ストレス、欲求不満、癌恐怖症などの精神的な原因もあるとされ、症状としては、味覚や知覚の異常はなく、 肉眼的および臨床検査値にも異常がなく、舌尖部や舌側縁部などのピリピリ・ヒリヒリなどの軽度の自発痛で、表在性かつ持続性の疼痛を訴えます。
また、カンジタという真菌の刺激による症状の発現も注目されています。 治療に関しては、薬物療法が主に行われますが、心身医学的な治療を必要とすることもあり、難治性の事も少なくありません。
また、舌・頬・こうがい口蓋・口底・口唇粘膜や歯肉にみられる粘膜病変も多く、口内炎が多くを占めますが、病変の中には悪性腫瘍(癌)や 前癌状態前癌病変も認められます。また、口内炎の中でも、ウイルス性に出現する疾患もあり、帯状疱疹では重症の口内炎になり、 後遺症が出現することもありますので、早期治療が重要です。
ほかには、口腔乾燥症で口が渇く、唾がネバネバする、口腔内に灼熱感があるなどの唾液に関する訴えもあり、口腔内で心配なことがあったら 歯科医院を受診してください。
(執筆者紹介/メロディー歯科クリニック院長)