非結核性抗酸菌症について
美唄市医師会・花田 太郎

皆さんは非結核性抗酸菌症という病気をご存知でしょうか?
この病名を知らなくても「結核」は何となく聞いた事があるでしょう。 結核の原因である結核菌の仲間をこうさんきん抗酸菌といいます。結核菌以外の抗酸菌で引き起こされる病気が非結核性抗酸菌症といわれ、 かつては非定型抗酸菌症ともいわれていました。
結核との大きな違いは、ヒトからヒトへ感染(伝染)しないこと、病気の進行が緩やかであることなどがあります。 結核の減少とは逆に発病者が増えてきており、確実に有効な薬がないため、患者数は蓄積され重症者も多くなってきています。
数年から10年以上かけて、ゆっくりと進行することが多く、初期では無症状のこともあります。進行してくると呼吸器の症状 (咳、血痰、息切れなど)や全身症状(発熱、体重減少)などが出現します。 結核に準じた治療を行いますが、薬が有効なのは全体の 3分の1くらいです。さらに薬は、結核よりはるかに長期間服用する必要があるため、積極的に治療を行うという医師と消極的な医師がいます。 そのため、病気を初期に見つけることが非常に重要な病気といえるでしょう。高齢で頑固な咳や痰がある方は、この病気だけではなく、 本家本元の肺結核や肺癌も心配です。早めに受診してください。
(執筆者紹介/花田病院院長)