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知らないと怖い「仮面高血圧」 美唄市医師会・井門 明 |
診察室で測ると血圧が上がってしまう「白衣高血圧」はよく知られています。 これとは逆に、診察室での血圧は正常でも、家庭で測ると高血圧になることを「仮面高血圧」と言います。 診察室では高血圧が仮面で隠されているという意味で「仮面高血圧」と呼ばれていますが、診察室や健診で正常血圧の人の10〜15%、 140/90mmHg未満にコントロール良好な降圧治療中の高血圧患者さんの30%にみられます。 診察室での血圧が高くないことから見逃されがちですが、高血圧に長時間さらされ、心臓や血管に大きな負担がかかり、放置しておくと脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくなります。 仮面高血圧には、血圧が高くなる時間帯により早朝高血圧、昼間高血圧、夜間高血圧があります。 本来、血圧は朝の目覚めとともに上昇し日中は比較的高めで、夜は下がってきて睡眠中は最も低くなります。 夜間睡眠中に血圧が下がらない人は、脳、心臓、腎臓などの臓器障害ならびに心血管死のリスクが高くなります。 逆に、夜間血圧が過度に下がる場合にも脳卒中発症のリスクが高く、認知機能が低下するとの報告があります。 仮面高血圧を見逃さないためには、家庭血圧の測定とともに、24時間の血圧を自動的に測る「24時間血圧測定装置」を用いた自由行動下血圧測定を行うことが重要です。 特に、糖尿病の方、心機能腎機能の低下のある方、脳卒中の既往のある方、睡眠時無呼吸症候群の方、認知機能の低下のある方、 アルコールを飲む方、喫煙者などは仮面高血圧の可能性が高くなりますので、一度検査をお勧めします。 (執筆者紹介/井門内科医院院長) ![]() |