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「眠れない」にお酒は禁物! 美唄市医師会・稲葉 央子 |
当院の外来では、睡眠障害を訴える患者さんが多数いらっしゃいます。大部分は「眠れない」という不眠の訴え
です。うつ病や統合失調症などの精神疾患に伴う不眠の場合は、疾患に対する治療で睡眠状態が改善していくことが
ほとんどです。それでは、睡眠障害が主症状の場合の治療はどうでしょうか? 軽い不眠は生活習慣の見直しで改善することも多いですが、不眠の程度が強く、生活に支障をきたしている場合は 一時的に睡眠薬を使用します。「一回使うと一生止められないのでは」と思う方もいるでしょうがそれは大きな誤解です。 睡眠薬で睡眠状態を改善するとともに、不眠を生じている背景に対して調整環境を行うなど、対策を立てることで薬を 少しずつ減量→中止するのが一般的な治療経過です。また、不眠に対する不安が強く、夕方ごろから「今夜は眠れるだろうか。 眠れなかったどうしよう」と緊張が高まるような場合には、抗不安薬や心理カウンセリングを併用する場合もあります。 ところで「寝酒はどうでしょうか」と尋ねられることが時々ありますが、答えはNOです。「お酒を飲んだらグッスリ眠れるのに ・・・」と心外に思われる方もいるでしょう。確かにアルコールはリラックス効果で入眠には多少役立つのかもしれませんが、 深い睡眠を妨げ、健康な睡眠構造を崩します。 ”眠るため”に飲酒を続けているといつまでも睡眠が改善せず、そのうち酒量が増えて増えていきアルコール依存に陥る危険性が出てきます。 不眠がつらい時は受診しましょう。 (執筆者紹介/心療内科あおぞらクリニック副院長) ![]() |