PM2.5
美唄市医師会・井門 明

最近、中国で発生した微小粒子状物質(PM2.5)が海を越えて日本に日本に飛来する越境汚染への関心が高まっています。 PM2.5は直径が千分の2.5ミリ以下の物質で、元素状炭素、硫酸イオンなどが主成分です。物が燃えることで発生し 、化石燃料、植物の燃焼や自動車の排ガスなどが発生源とされています。PM2.5はとても小さいので、肺の一番奥の肺胞 まで入り込み、肺がん、気管支喘息、心臓病などを発症する恐れがあります。
北京のPM2.5の濃度は、大気1立方メートルで500〜700マイクログラムに上昇する日もあるとされています。日本の 環境基準値は同35マイクログラム、環境省の外出自粛を呼びかける暫定指針は同70マイクログラムとなっています。 PM2.5が10マイクログラム増えるとその地域住民の死亡率が6%増えるという報告もあり、今後の観測データに注意を 払いたいところです。
現在の日本にはPM2.5が北京で観測されている数値よりも高濃度に達している場所がたくさんあります。それは、タバコ煙 にもPM2.5がたくさん含まれているからです。
専門家の調査によると、自由喫煙の飲食店ではPM2.5濃度が700マイクログラム前後まで上昇するとされており、パチンコ店 では200マイクログラムでした。別の調査では喫煙者のいる家庭は、喫煙者のいない家庭に比べ30マイクログラム高かったと 報告されています。これは死亡率が18%増加する数値なのです。 受動喫煙によるPM2.5の吸引は中国からの越境汚染よりも深刻な問題で、先の調査をした専門家も
「屋外のPM2.5汚染を懸念する前に、屋内での喫煙を控えるべき」
と指摘しています。
(執筆者紹介/井門内科医院院長)