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統合失調症について 美唄市医師会・石本 隆広 |
統合失調症は、約100人に1人の方が罹患する精神疾患です。主に思春期後期・青年期(10歳代後半から30歳くらいまで)に発症
しますが、40歳代や50歳代の方の発症もあり得ます。 主な症状としては、幻覚や妄想といった陽性症状(≒急性期の症状)と感情鈍麻(感情が乏しく見える)、引きこもりなどの陰性症状 (≒慢性期の症状)を呈します。このほかに注意や記憶の障がいなどの認知機能低下(認知症とは異なります)も見られます。 病気の原因は不明です。ただ、脳内の神経伝達において、ドーパミンなどの過剰伝達やグルタミン酸の神経伝達異常が関係することが推測されています。 統合失調症は、急性期の症状を繰り返すほど、慢性期の症状が強くなってしまうという特徴があります。したがって治療の重点は、 @急性期の症状を早くコントロールすること A再発をなるべく繰り返さないこと の2点になります。 治療は薬物療法と精神療法が2本柱です。ここ15年ほどで新薬がつぎつぎと開発され、以前より副作用が少なく、使用しやすい薬剤が 増えています。また、統合失調症は周囲の関わりが予後を大きく左右するといわれているため、場合によっては訪問看護の利用が望ましい こともあります。また、急性期の症状が安定した後には、引きこもりがちになることを防ぐ目的でデイケアや作業所を利用すると良いでしょう。 患者さんのご家族は、家族会などの自助グループを通じて、治療に有益な情報を共有しつつ、ご家族だけで悩みを抱え込まないことも大切です。 (執筆者紹介/心療内科あおぞらクリニック院長) ![]() |