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ビタミンDと骨粗鬆症 美唄市医師会・小松 幹 |
骨粗鬆症に対する薬物治療の重要性は年々増加していますが、そもそも骨粗鬆症の「発症」の予防には何が大事なのでしょうか。
実は最も重要なのは、思春期〜成年期における最大骨量の増加なのです。特にこの時期の骨密度は日常のライフスタイルに大きく
影響されます。 骨を丈夫にしたいと考えた時に「カルシウムをたくさん取らなくては」とまでは思いつきますが、ビタミンDまで気を回す方は なかなかいません。 ビタミンDは、カルシウムの吸収率を高めると同時に、骨の新陳代謝(リモデリング)の活性化に重要な役割を果たしています。 つまり、ビタミンDにはカルシウム吸収を助けて骨を増やすだけでなく、骨そのものを強くする作用があるのです。 このビタミンD、実は口から取るよりも日光に当たることが最も大切です。皮膚にはビタミンD前駆体が存在し、紫外線照射により ビタミンDが産生されます。 この経路がビタミンD供給の90%を担っているといわれています。夏の晴れた日なら約6分で1日の十分量が生成されます。 しかし、最近では、紫外線カットの化粧品を使っている人も多く、受験勉強や夜間勤務に就いている人など、日光を浴びるチャンスが 少ない人もいます。このような人は意識して経口でビタミンDを取る必要があります。最近では骨粗鬆症治療に対して適応がある、 骨密度を増加させるタイプのビタミンD剤も新しく開発されています。ただし、ビタミンDは過剰に摂り過ぎると、かえって骨から カルシウムが抜け出し、骨粗鬆症の原因ともなるので医師の指示に従って服用することが大切です。 骨粗鬆症にならないよう、太陽の下で適度に運動し、バランスのとれた食事を心がけましょう。 (執筆者紹介/北海道中央労災病院せき損センター整形外科) ![]() |