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脳梗塞予防が必要な心房細動患者さんの背景について 美唄市医師会・中野 記嗣 |
長嶋茂雄氏・オシム元サッカー日本代表監督・小渕元首相の3人は、心房細動による脳梗塞に罹患しました。心房細動は、脈が不規則に打つ
ことにより心臓の中に血栓ができてしまい、それが脳にとんで血管を詰まらせ、脳梗塞という恐ろしい合併症を起こす原因となります。
しかし、すべての心房細動が同じように脳梗塞を起こしやすいわけではありません。いわゆる危険因子がわかりつつあります。 下表は英語の頭文字をとってCHA2DS2−VAScスコアといいます。
このスコアの合計が2点以上だと脳梗塞の危険が高まり、抗凝固療法(薬物療法)を導入する必要があることが分かってきました。 抗凝固療法の一つに、ワーファリンという飲み薬を使い、定期的に血液のサラサラ具合を採血検査でチェックし、ちょうど良い量を 加減しながら飲み続けるものがあります。最近では、ワーファリンに代わる新薬も出てきています。良い点は、納豆も食べても良い、 血液検査の必要がない、75歳以下では出血の副作用が少ないところです。逆に難点は、高額で(保険適用で月に約5,000円ほど)、 75歳以上の高齢者や腎不全の方には思わぬ大出血による副作用が出やすいところです。また、よくある薬の中に併用禁忌薬があります。 (ワソラン、アミオダロン、胃薬のプロトンポンプ拮抗剤)。腎機能が正常で高齢でなければ使用できますので、納豆を食べたい方、 採血を減らしたい方はご相談ください。 (執筆者紹介/北海道中央労災病院せき損センター第二内科部長) ![]() |