歯ぎしりはこわい
美唄歯科医師会・笹川 政嗣

睡眠中に行っている歯ぎしりは、周囲から指摘されない限り、自分ではなかなか気付かないものです。歯にかかる力は70kg以上といわれ、 自身でコントロールできない睡眠時に歯をすり減らし、ぐらつかせ、割ったりもします。歯の根元がしみてくる「知覚過敏」の原因にもなり、 冠が外れたり、壊れたりする原因でもあります。顎関節症、あごや顔の変形、頭痛・肩こりなどの症状にも関係します。
このような症状がある場合は、かかりつけの歯科医院で相談してみてください。歯科医院では、かみ合わせを調整したり歯を補強したりしますが、 歯ぎしりを軽減するために、就寝前に自分でもできることがあります。まず、就寝前までストレスを持ち込まないこと。また、親指以外の4本の 指で、両ほほを5分程度、比較的強い力で押したりしたり回したりといったマッサージをして、筋肉と精神をリラックスさせましょう。 布団の中で「唇は閉じて、歯は離す」と声に出して20回唱える、という暗示療法もあります。
そして最大の効果があるのが、就寝時に歯をガードする「マウスピース」です。これは歯科医院で診断後、自分の口やあごの形、歯並びに合わせて マウスピースを作り、それを歯にはめて寝ることで、歯と歯の直接的な接触を避けるものです。軟らかい樹脂でできていて、自分の歯の代わりに すり減ってくれます。穴があいてきたら作り直しが必要ですが、健康保険が適用されています。
このように、定期的に歯科医院で治療を受けて歯を大切にし、一生、自分の歯で食事を楽しめるよう心がけましょう。
(執筆者紹介/びばい中央歯科医院院長)