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低侵襲手術(小さな手術) 〜腰椎椎間板ヘルニアの場合〜 美唄市医師会・須田 浩太 |
腰椎椎間板ヘルニアは、腰と首に多い病気です。骨と骨の間にある「椎間板」というクッションが破けて中身が飛び出し、神経に触れるため痛みが出ます。
腰、殿部(お尻の部分)、下肢・・・と痛みの場所はいろいろで、しびれがあるだけの場合もあります。悪化すると足が麻ひしたり、排尿・排便障害が出たりします。
誰にでもなる可能性がある、非常に一般的な病気です。7割以上の人が数ヶ月で自然に治りますが、痛みが強い場合はブロック(局所麻酔の注射)や手術をします。 また、麻ひが明らかな場合は、早めに手術しなければ後遺症が残りやすくなってしまいます。 ヘルニアに対する低侵襲手術としては、 @レーザー A経皮的髄核摘出(患部の皮ふから管を入れて椎間板の一部を取り出す) B内視鏡C顕微鏡などがあります。 この中ではBかCが安全確実な手術方法で、いずれも2pほどの小さな傷でヘルニアを摘出できます。傷が小さいので術後の痛みが少なく、出血はほとんどありません。 アメリカでは日帰りで手術する患者が大半ですが、日本では数日〜1週間程度の入院が一般的です。 ヘルニアの中には、腰部脊柱管狭窄症(脊椎にある「脊柱管」という神経を囲んでいる管が狭くなること)を合併していることがあります。その場合、ヘルニアを取るだけでは、 すっきりしないことがあるので、骨を少し削らなければなりません。3pぐらいの傷になりますが、それでも以前に比べると随分と小さくなり、手術後の痛みもとても少なくなりました。 ヘルニアの手術も、10年前とは大違いです。 腰や足の痛みが続いている方は、一度検査を受けられることをお勧めします。「痛みの原因がヘルニアだった」ということは非常に多く、珍しくないことなのです。 (執筆者紹介/北海道中央労災病院せき損センター副院長) ![]() |