ふるえについて
美唄市医師会・輿水 修一

今回は「ふるえ」について皆さんにご紹介します。ご自分の意思に反して体の一部がふるえることを、医学用語で「振戦」と言います。 振戦は大まかに分けて
@本態性振戦A小脳性振戦Bパーキンソン振戦の3つがあります。

@本態性振戦
最もよく見られるふるえで、主に手や頭で見られます。字を書くときや箸を持ったときなど、何か動作をするときや一定の姿勢を保つ ときにふるえが目立ち、生活に不自由することもあります。ご年配の方で頭をリズミカルに振っていらっしゃる方がいますが、多くが この本態性振戦で、心配な病気ではないことが多いようです。ただし、生活に支障が出るようであれば、ふるえを調整するお薬を飲んで いただくこともあります。
A小脳性振戦
脳の一部の「小脳」という部分の異常により起こるふるえです。小脳は体の動きをスムーズに調整する働きがあり、ここに異常が起こると 、言葉がもつれる・真っすぐに歩けなくなるといった症状がでます。(分かりやすく言うと、お酒に酔った時のような状態です)。 診察の際は、目標物に指を近づけていただきますが、うまく指が目標物に到着せず、揺れるような動きになります。このような場合、脳梗塞 などさまざまな原因が考えられ、詳しい検査が必要となります。
Bパーキンソン振戦
文字どおり、パーキンソン病でみられるふるえです。@のように一定の動作や姿勢を保っているときに見られるのではなく、安静にして いるとき(静止時)にふるえが目立つのが特徴で、動作を始めるとふるえはむしろ少なくなります。 全体的に動作がゆっくりになる・転びやすくなるといった症状を伴うこともあります。以上のほか、甲状腺機能の異常、(ホルモンの過剰分泌) など、内科の病気で起こるふるえもあります。気になるふるえがありましたら、ぜひ一度医療機関にご相談ください。

(執筆者紹介/市立美唄病院神経内科医長)