歯磨きで血管の老化を防ぐ
美唄歯科医師会・平 隆一

シソーノーロー(歯周病)は、歯の根元にいる細菌が原因で起こった炎症(ジグジグする、赤くなる、腫れるなど) によるものです。悪化すると、炎症の面積は最大で手のひらほどの大きさにもなります。
これをそのままにしておくと、体に悪い状態の酸素「活性酸素」が大量にできます。
この活性酸素は血管の老化を進ませますが、一方で老化を防ぐ物質が血液中にはあります。老化を防ぐ物質以上に活性酸素が多いと血管の老化が 進むことになりますから、口の中にいる菌を減らすことが重要になります。「口の中にいる菌と全身の血管は密接な 関係にある」などと聞くと不思議に思うかもしれませんが、米国の学者が4年前に発表した研究内容から分かったこと です。
また、血管の若さを保つには、運動が重要です。高血圧で肥満の方は、ダイエットで血圧を下げ、血管の老化を防ぐこと ができますが、たんぱく質や脂質、野菜まで減らすと逆効果です。血管の老化防止には、塩分と炭水化物を減少させる ことが重要です。
また、歯が悪いと栄養バランスが崩れ、炭水化物を過剰に摂取しがちになることが研究により示されているほか、体の 左右の運動バランスが崩れ、他の運動機能も低下します。
このように、歯が悪いまま高齢になると、運動しにくくなり、血管の老化が進んでいきます。血管の老化を防ぐためにも 、歯石を取り除き、丁寧に歯磨きをしましょう。
(執筆者紹介/平歯科医院院長)