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口腔がんを考える 美唄歯科医師会・大坪 義和 |
すべてのがんの1〜3%にあたる「口腔がん」が、高齢者に増加しています。 現在の口腔がん罹患者数は、30年前と比べ2倍以上の約8500人と推定されており、死亡者数の数は、25年前は 2089人だったのに対し、3年前では6399人に増加しています。また、死亡率は欧米先進国では減少傾向にあるのに 対して日本では増加傾向にあります。早期の口腔がんは手術や放射線治療成績もよく、後遺症が出ても軽く済むなど予後も 良好です。進行がんでは手術後の後遺症が大きなものとなり、食事や会話に著しい障害が生じるなど、社会復帰に影響が 出ることがあります。 口腔はほかの臓器とは異なり、見て触ることのできる、がんを発見しやすい部位です。それにもかかわらず、口腔がん患者 の半数以上が進行がんで医療機関を訪れています。これは、体のほかの部位と同様に口腔にもがんが発生することが広く 知られていないことや、口の粘膜にできた「荒れ」「痛み」は口内炎なので、放置していても自然に治ると考えている人が 多いからだと思われます。 近年、口腔がんに対する治療法は大きく進歩しており、がんの進行度などを表す※病期分類・ステージIの5年生存率は90% 前後ですが、病期が進行してステージWの進行がんになると50%前後まで下がります。 このことから、口腔がんは早期発見がとても重要です。生活習慣の改善を心がけることはもちろん、かかりつけの歯科医を持ち 、定期的に口腔内の検査を受けましょう。 ※病期の「期」は、あえてこの文字を使用しています。 (執筆者紹介/そらち歯科医院院長) ![]() |