![]() |
ボケない為のお口の健康 美唄歯科医師会・孫 泰一 |
よくかむと、脳への血流が促進されます。これは、咀嚼による脳の覚醒作用です。かむことでパロチンが分泌されて
老化防止、ボケ防止になります。 最近の研究によると、アルツハイマー病を引き起こすとされるたんぱく質・ベータアミロイドは、咀嚼運動が少ないほど 多くなるというデータが出ています。つまり、よくかむ人ほど認知症になりにくいということです。よくかむことで 脳が活発に機能し、反射神経や記憶力、集中力、判断力などが高まります。 かむことの大切さを教えてくれる面白い実験結果があります。老年期のマウスの奥歯を削り取り、学習・記憶力を測定した ところ、健全な歯を持つ老齢マウスに比べて記憶力が約5分の1に低下したといいます。 さらに削った歯を治療してよくかめるようにしたところ、学習・記憶能力が日ごとに回復していったというのです。 また、人を対象とした疫学調査でも「歯の喪失と認知機能の関連」についてのデータが得られています。大規模な地域高齢者 の健診では、認知症の疑いがあるグループほど、現在残っている歯の数が少ない傾向にありました。また、脳のMRI検査では 歯が少ないほどに、海馬を含む側頭葉内側部や前頭・前頂連合野領域の灰白質の容積が減少することが分かっています。 ここは記憶や空間認知、計算や思考をつかさどる重要な場所です。 かむことがこんなにも脳機能に影響を与えている事実に改めて驚かされます。 (執筆者紹介/孫歯科医院院長) ![]() |