血圧の薬は癖になる?
美唄市医師会・奥出 潤

「血圧の薬は一度飲み始めると癖になってやめられなくなるというので、飲みたくありません!」
血圧を下げるお薬を始めようとすると、多くの方がこのように話して嫌がります。でも、これは間違いです。
実際は「中年以降に血圧の薬が必要になった方は、以降長期にわたり薬を続けなければならないことがほとんどである」 ということであって「癖になって」やめられなくなるわけではありません。患者さんはこれからさらに歳をとっていくの ですから、だんだん血管は硬くなり、労働や運動も少なくなっていくなど、血圧が高くなる要素ばかりなのです。
でも、血圧の薬を減らしたりやめたりででる人だっています。

高血圧治療の基本は、お薬よりまず「生活習慣の改善」といわれています。
@食事の塩分制限
A野菜・果物を多く取り、 コレステロールなどを控える
B肥満の人は体重を減らす
C適度な運動
D節酒
E禁煙

これらが基本の改善ポイントです。
このように生活を改善するだけで血圧の低下が期待できるのですが、特に「乱れた」生活をしていた人では効果が大きいようです。 コンビニ弁当と居酒屋だけの食生活だった肥満男性が、定年を機会に食事と運動で15キロ減量したところ、血圧の薬がいらなくなった 例もあります。
いずれにしても、医師と十分に相談しながら気長に治療するのが高血圧治療のコツです。くれぐれも自分だけの判断で薬を中止することは しないでください。
(執筆者紹介/医療法人社団慶北会花田病院副院長)