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更年期のケア 美唄市医師会・稲葉 央子 |
みなさんは「更年期」と聞くと、どんなイメージが浮かびますか?マイナスイメージを持っている方が
多いのではないかと思いますが、人生の熟成期に向けての大切なステップともいえる時期なのです。 まず、更年期が一部の中・高年女性だけがかかわる病気のようにとらえられることが多いのですが、 それは誤りです。性腺機能が低下してくる時期のことを指し、男女ともに誰にでも訪れるものです。 ただ、女性のほうが閉経というイベントがあるため明確に変化が生じるので、女性特有と思われがち なのでしょう。ちなみに、女性の場合は閉経を挟んだ40代後半〜50代前半、男性の場合はもう少し あとの年代であることが多いのですが、個人差が大きく、また近年は若年化する傾向があるようです。 この時期、ホルモンバランスが急激に変化することにより、身体的には動悸・息切れ・全身倦怠感・ 冷感・熱感・発汗(いわゆるホットフラッシュを含む)・めまい感・頭痛など、精神的には抑うつ感・ 意欲低下・集中力低下・焦燥感・不安感・不眠などの症状が現れ、これが更年期障害といわれる状態 です。ただし、この時期にはさまざまな疾患が発症することも多く、このような症状があるのに 「更年期障害だから仕方ない」と我慢することは禁物です。特に女性の場合は、家族を支えるために 自身の健康管理を後回しにすることに慣れてしまっている方も多く、更年期に現れるさまざまな症状は 「自分自身の健康にも注意を向けてほしい」という身体からのサインといえるかもしれません。 もし症状が現れたら、早めに医療機関で受診しましょう。また、この年代はうつ病発症の危険性が 高い時期でもあります。 「どうも今までと違う」という感覚が2週間以上続くようなら、かかりつけの病院や心療内科・精神科に 相談してください。更年期は、固定の役割から解放され1人の人間として人生を楽しむための準備期間 ともいえます。心身のメンテナンスをしっかり行い、準備ができたらつぎの充実期に向けて踏み出しましょう。 (執筆者紹介/心療内科 あおぞらクリニック副院長) ![]() |