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手術後の安静は必要なの? 美唄市医師会・飯塚 幹也 |
医師は外科手術を受ける患者さんとご家族に対し、手術前に今後の治療方針や手術説明などをお話させて
いただきます。 医師から手術を受ける方々には「手術中は医師や看護師が頑張るから、手術後は患者さんが頑張る番です。」 とお話ししています。手術は、ほぼ100%成功します(手術すべてを治療できるわけではありませんので 「成功」という言い方が適当かどうか問題はあるのですが)。 しかし、特に高齢者の方の場合は術後合併症が問題になります。「手足の手術ではないので、合併症防止の ため、術当日または翌日から歩いてください」とお話しするのですが、多くの方は驚かれます。術後問題に なる主なものは @肺炎・・術後に寝てばかりいれば、背中側の肺に痰詰まりを生じたり、肺がスポンジのように体の水分を 吸って肺炎が生じます。 A腸閉塞・・腹腔内を手術すると炎症が生じ、やけどのように腸管同士が癒着して腸の動きが弱まるため、 体を動かして癒着を防ぎ、腸の動きを助けます(転がる石には苔が生えない) B深部静脈血栓症(エコノミー症候群)・・人は足を動かすことにより血液を心臓に戻します。手術中は 両足のふくらはぎをマッサージする機械を付けていますが、手術後は自分で筋肉を動かしたり歩くことが 必要になります。 傷が痛くて動けないことないよう、麻酔科の先生のサポートや、積極的に痛み止めを予防的に使用して もらっています。体を動かすことにより酸素が多く取り込まれ、酸素を含んだ血液や傷を治す成分、免疫 に関与する細胞が行き渡り、傷の治りや全身状態の回復も早くなります。 (執筆者紹介/北海道中央労災病院せき損センター第二外科部長) ![]() |