過活動膀胱の話
美唄市医師会・森田 肇

突然おしっこがしたくなり、トイレに急いで駆け込んだ経験のある方はいませんか?このように、急に強い尿意を感じて 我慢が難しい症状を中心とする状態を「過活動膀胱」といいます。この症状は昔からあるのですが、過活動膀胱は比較的 新しい病名です。最近、女優の野際陽子さんが過活動膀胱を紹介するテレビのCMに出ているのをご覧になった方もいる かもしれません。調査によれば、40歳以上の男女では8人に1人の割合で過活動膀胱の症状がみられるとされ、加齢に 伴ってその頻度も増加します。国内の患者数は800万人以上と推定されている、非常に多い病気です。
過活動膀胱の患者さんは、ほかに「おしっこが近い」とか「我慢できずにおしっこが漏れる」「夜寝てから朝起きるまでに 何度もおしっこに起きる」といった症状を併せ持っている場合があります。
過活動膀胱は、その原因が不明の場合も少なくありませんが、脳卒中、パーキンソン病など脳の病気のほか脊髄や末梢神経 の障がいがある場合にみられることもあり、また男性では前立腺肥大の患者さんに合併することが多いことで知られています。
この病気が生命に直接影響することはほとんどありませんが、排尿に関わる不快な症状のために外出を控えたり、旅行など 生活の楽しみをあきらめたりしている人も少なくありません。過活動膀胱の多くは薬によって良くなります。
もし症状がある方は、一度かかりつけの病院に相談されると良いでしょう。あなたの人生が今よりもっと楽しく、豊かな ものになると思います。
(執筆者紹介/北海道中央労災病院せき損センター副院長)