血液透析と腹膜透析
美唄市医師会・松江 弘一

慢性腎不全の透析療法には、大きく分けて「血液透析療法」と「腹膜透析療法」の2つの方法があります。
血液透析は、体内を循環する血液を体外に誘導し、透析器(ダイアライザー)を通過させることで、老廃物の除去、 水分と電解質の調節を行います。このため、事前にシャントといわれる腕の動脈と静脈をつなぐ血管の手術が必要 です。通常は週3回、1回4〜5時間の通院治療が必要ですが、夜間透析や在宅透析などを受けられる施設もあり ます。
一方、腹膜透析は、お腹の臓器を包む腹膜を利用して老廃物の排せつや電解質の調節を行うため、お腹の中(腹腔) に透析液を注入し、一定時間が経過したのちに排液します。(毎日4〜5回に分け30分程度の時間です)。 透析液を出し入れするためのチューブをお腹に植え込む手術が必要となります。自分自身や家族の介助を受けて 自宅や職場で、また夜寝ている間に自動で透析することで、通院頻度を減らすことができます。血液透析よりも 身体への負担が少なく、残っている腎臓の機能を長持ちさせて、いろいろな制限の少ない治療になります。 反面、個人差はありますが、腹膜の機能が次第に低下して透析不足となり、血液透析が必要となってしまいます。
透析療法は生涯続ける必要があります。食事療法や内服治療も必要で自己管理も必要となります。「透析療法が 将来必要です」と言われたら、十分に主治医と相談して下さい。どちらの透析療法も一長一短あり、体調・生活様式・ 仕事など、自分にもっとも適した方法で透析を受け、無理なく生活を続けていくことが必要だと思います。
(執筆者紹介/市立美唄病院外科医長)