![]() |
透析治療とは -慢性腎不全の場合- 美唄市医師会・松江 弘一 |
皆さんがもしもかかりつけの医師に「腎臓の働きが次第に悪くなり、将来このままでは透析治療が必要になります」と
説明されたら、不安になると思いませんか。 成人では糖尿病・慢性糸球体腎炎・腎硬化症・慢性腎盂腎炎・遺伝性の腎奇形・先天性の腎尿路奇形など、いろいろな 原疾患で慢性腎不全の末期になると腎臓の働きを補う治療が必要となり「透析治療」という言葉が出てきます。 全国では毎年新たに3.7万人が透析治療を開始し、人口1万人当たり約23人が透析を受けており、その数も年々増加して います。市内でも現在70人以上の患者さんが透析治療を受けられています。これは、高齢化社会とともに予後のあまり良くない 糖尿病や動脈硬化疾患の増加が背景にあります。 腎臓の働きは、尿の生成によって体内の水分量と電解質や血液の酸性度を調節し、体内の老廃物・代謝物・薬物の排せつ機能 を持っています。 また、血圧を調節したり赤血球を作ることを促すホルモンの分泌や、ビタミンDを活性化して腸からのカルシウム吸収代謝 を進め、骨を丈夫にします。腎臓の機能を補う透析治療は、主に血液透析と腹膜透析とがありますが、水分量の調節や老廃物 の排せつなどの機能だけで、分泌や代謝機能はありません。しかし、透析機材の進歩や適切な時期に透析治療を開始し維持 することによって、体への負担を和らげ、長期間の治療が可能になってきています。もちろん、透析治療を受けなくて済む ように、血糖や尿蛋白のコントロール、血圧の管理など十分に主治医とともに治療を進めましょう。 次回は「血液透析・腹膜透析」について説明します。 (執筆者紹介/市立美唄病院外科医長) ![]() |